理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

Chapter 4

One Day at a Time ~ 今日一日だけ ~

アルコール依存症からの回復を目指している方々は、今日一日、飲まないでいられるようにと、日々飲酒欲求と闘っている。飲まない日々を毎日数え、ああ、今日も飲まずにいられたと、明日のことは分からないけれど、今日は飲まない一日が無事に終われるんだと…

告白

私は去年の秋あたりから、徐々に、ほんの一握りの人達だけになのだが、信頼のおける友人達に夫のことを話し始めた。 話せるようになってきたのは、夫の状態が少し落ち着いてきたからだ。 これが一年前だったら、苦し過ぎてまだ話すことはできなかった。 今振…

夫の健康状態

夫が一番最後に医師の診察を受けたのは、会社から救急車でERに搬送された、2016年8月のことだった。ここでも以前大まかに書いたのだが、かなり割愛してあり、あの日の出来事とそれ以降の夫の様子は、今思い返しても胸が苦しくなる。 それから約2年半の…

アメリカ人の衛生観念

私はアメリカは嫌いではない。むしろ、元々好きだったからこそ渡米して来たという過去がある。 アメリカ人の大らかで適当なところは、良くも悪くも受け入れて来たし、郷に入れば郷に従えで、ここでの暮らしに、自分を順応させてきた。 そんな私ではあるのだ…

セキュリティカメラが捉えたもの

我が家には、セキュリティカメラが数台設置してある。 防犯のためというより、昼間みんなが不在中に、犬達がどう過ごしているのかを見たいという、遊び心で設置したものだ。 犬達は、私達が外出から帰って来ると、必ずベイウィンドウ(出窓)に座って外を眺…

春を待ちながら

夫は2019年の目標として、アルコール依存症からの回復、そして、社会と仕事に復帰することをあげている。 期待をしても、今までに何度も失望させられてきたから、私はそれをただ黙って聞いている。 それでも、彼の前向きな気持ちを聞いて少し安心する。 …

失われた信用

かつて私達が日本に行く時、いつも空港まで車で送ってくれ、また、迎えに来てくれていた夫は、ここ数年の日本への里帰りでは、もうそれができなくなっていた。 夫が離脱症状で苦しんでいる最中、義母に夫の様子を見に来てもらい、運転ができない夫の代わりに…

不穏な日々

2019年、冬。 私と娘は、4年振りのお正月を日本で過ごしていた。 今回の滞在は2週間。年末年始で慌ただしいながらも、夫から解放されて、平和に過ごせるはずだった。 断酒がある程度継続できたアルコール依存症者なら、きっと誰もが一度は思うことなの…