理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

料理のアルコール

私はアルコールを飲まないと言いながらも、料理では普通にお酒を使う。

料理で使う酒やワインが、いくら加熱でアルコールが飛んでいるからと言っても、アルコール依存症の夫にとって、これらの料理を口にすることは大丈夫なのだろうか?

 

オーブンで約2時間半煮込んだ、赤ワインを使ったポットロースト、気のせいであって欲しいのだが、意識して食べてみると、脳で微かにアルコールのクラクラ感を感じてしまった。(そのように思い込んでしまっただけなのかも知れないが。) それを食べながら、夫がアルコールに気付いてしまうのではないかと、恐る恐る夫の様子を伺ってみる。

 

少量のアルコールにも敏感に反応してしまう私ではあるが、こんなアルコールが飛んだ料理に、夫は反応するだろうか?再飲酒のキッカケになったりすることがあるだろうか?

 

こんな小さなことを気にしてしまう私は、思えば、娘を妊娠中の時は、料理にお酒を使うことは一切なかった。どんなに物足りない味でも、お酒だけは絶対に体内に取り入れたくなかった。

妊娠中に、一度誤ってラム酒入りのケーキを食べてしまったことがあるのだが、その時は酷く動揺した。

 

妊娠中にアルコールを摂取すると、アルコールがへその緒から赤ちゃんへと伝わり、赤ちゃんがFetal Alcohol Syndrome(胎児性アルコール症候群)で産まれて来ることがある。この病気についてここに具体的なことを書くつもりはないが、アルコールでも薬物でも、妊娠中のお母さんのそんな犠牲になってしまうのは、いつも何の罪もない赤ちゃんなのである。

 

話は戻るが、料理で使うお酒やワイン、私はそれらを、夫から見えないところに隠し持っている。

夫は、いくらアルコール依存症だと言えど、消毒用のアルコールや、マウスウォッシュを飲んだことはない。重度のアルコール依存症者はそんなことを平気でするらしいのだが、幸い夫には、飲んでいいアルコールと飲んではいけないアルコールの区別はついているようだ。

 

だから、料理で使うアルコールは、絶対に夫の目に触れさせてはいけない。

そんな小さな気遣いをして、夫の再飲酒のキッカケを少しでも減らすよう、私も日々気を付けている。

 

夫が断酒を始めてから、2ヶ月が経ちました。

 

 

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