理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

不穏な日々

2019年、冬。

私と娘は、4年振りのお正月を日本で過ごしていた。

今回の滞在は2週間。年末年始で慌ただしいながらも、夫から解放されて、平和に過ごせるはずだった。

 

断酒がある程度継続できたアルコール依存症者なら、きっと誰もが一度は思うことなのだろう。

 

「ずっと断酒しているから、もう治ったんじゃないか?」

「一杯だけなら、飲んでも大丈夫なんじゃないか?」

 

そして私達が日本へ経つ少し前に、夫は見事、再飲酒してくれました。

 

一旦アルコール依存症になってしまうと、もう二度と普通の人達のように飲酒をコントロールすることができない。

 

それを十分分かっていたはずの夫は、ビール一口だけなら大丈夫なのではないかと、飲んでしまった。この期に及んで、まだそんなことを考えていたのか!と腹立たしくなったが、本人は、まだ飲酒を諦めきれていなかったのだろうか。

 

最初はビールから始まり、それからすぐにウォッカへと移行。止まっていたブレーキが壊れてしまったかのように、すぐにまた元の状態に戻った。

 

お決まりの離脱症状が終わる頃には、夫に愛想を尽かしつつ、私の心は日本に向かっていた。

いちいち夫の状態に振り回されて、自分達まで苦しむことはない。

 

年に数日間だけ、どうか、私達を夫から解放して下さい。

 

もうすぐ日本へ行くという開放感から、私は気持ちが大きくなっていた。

でも、やはり夫を一人残していくことには、大きな不安が残る。

 

夫が泥酔して近所に迷惑をかけたり、事故を起こしたりしないだろうか。

離脱症状が起こった時、一人で大丈夫だろうか。

火事を起こさないでちゃんと家を守り、犬達のご飯や散歩などの世話をしてくれるだろうか。

 

アルコール依存症の夫には、そんなことさえも期待ができない。

 

日本への里帰りという楽しい時でさえ、夫と離れていても、いや、離れているからこそ、私の心配事は尽きない。

 

 

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