理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

アメリカのアルコール事情

日本はアルコールに、非常に寛大な国である。

それに比べ、アメリカではかなりアルコールに関する規制が行われており、渡米した当初は驚いたものだ。

 

アメリカでは、21歳から飲酒することができる。

TVでのアルコールのコマーシャルはなく、街中にはアルコールの広告もない。アルコールの自動販売機は存在せず、リカーストア(酒屋)かビールが買える店に行かなければアルコールは買えない。買う際には年齢確認のためにIDカードの提示を求められる。

 

州によって異なるのだが、普通の食料品店やコンビニでアルコールは売られていない。(売っている州もあります。)私の住む州では、ここ何年か前から食料品店でもアルコールを売り始めたのだが、それ以前は、食料品店でアルコールなど買えなかった。

 

ちなみに、アルコールを販売するには、どの店もアルコールを販売できるライセンスが必要である。

 

レストランでも、アルコールを提供できる許可を得ているお店は、その許可証が大きく店内に張られ、メニューにアルコールが載っている。しかしながら、その許可を得ていないレストランでは、アルコールを売ることができず、その代わりに、BYOB (Bring Your Own Beer/Bottle/Booze – 酒類は自分で持参して下さい)で、お客さん達は自分達でアルコールを調達し、店内に持ち込むことができる。

 

公共の場、たとえば道端や公園等でアルコールを飲むことが禁止されている州は多いだろう。

日本の桜の季節のお花見など、風情があってとても楽しい文化だな、と今となっては懐かしく思っている。

 

四六時中、食料品店やコンビニ、自動販売機等でアルコールが手軽に手に入り、どこでも自由に飲める日本に比べると、アメリカでのアルコールの扱いは非常に厳しいものではあるのだが、ここまで規制されていても、アメリカでもアルコール依存症になる人達は後を絶たない。

 

しかしながら、日本のサラリーマン達のように、仕事帰りに同僚と居酒屋に飲みに行く、などという毎日のような習慣はなく、強制的に飲まされる場というものはないかも知れない。

 

アルコールだけではなく、たばこや成人向けのものも同様に、日本以上に扱いは厳しく、そういう意味では、アメリカは自由で適当なようでありながら、そういう線引きは日本以上にきちんとしている。

 

もし私の夫が日本に住んでいたら、きっとアメリカ以上に飲む機会は多く、もっと早くにアルコール依存症になっていただろう。そして、きっと今以上にアルコールの誘惑に悩み、断酒の妨げになっていたと思う。そしてそんな中で断酒を継続されている日本在住のアルコール依存症の方々は、本当に大変だと思いますが、そんな彼らのことも、私の夫のことも、断酒がずっと続くよう、これからも応援しています。

 

(州によって法律が異なるため、ここに述べたことは州によって事情が異なる、ということを再度断っておきます。)

 

 

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