飲酒欲求とストレス
私の夫は日々、試行錯誤しながら、回復に向けて答えを探している。
何で飲んでしまうのか、どうすれば飲まなくなるのか、何度も失敗を繰り返しながら、夫は自分に合った断酒方法を探している。
今まで夫の断酒が続いていても、何度となくスリップしてしまったのは、身体的依存の他に、二つの精神的な理由があるようだ。
一つは、会話の中にアルコールが出て来た時。
AAで聞く依存症者達のアルコールにまつわる話は、夫に一層飲酒欲求をもたらせた。
この夏、気持ちを改めて夫と二人でAAのスピーカーズミーティングに行ったことがあったのだが、かえって飲酒欲求で夫を苦しめてしまった。
スピーカーズミーティングとは、アルコール依存症回復者のスピーチを聞くというミーティングのことである。
でも夫以上の壮絶な話を聞くことはできず、夫も、「自分の方がもっと酷い体験をしてきた。そしてそれを、もっと上手に話すことができる。」と笑っていた。「いつか、アルコール依存症回復者のスピーカーとして、あなたがみんなの前で話をしてくれたら、私は見に行きたい。」と私も笑った。
その笑顔の裏で、夫は飲酒欲求と闘っていた。
そして、それに負けることが度々あった。
それを見ている私もいい加減「もう勝手にしてくれ!」と怒りでいっぱいになるのだが、気を取り直してまた一からやり直すということを、夫も私も辛抱強く続けている。
もう一つの精神的理由は、ストレスを感じた時。
不安やストレスを感じた夫は、飲酒欲求が止まらずに今までに何度も失敗をしている。
夫は一年前に煙草を止め、その代わりにVaping (Juul)を始めたのだが、同時に何故かそれで飲酒欲求がなくなったことがあった。当時はそれが不思議で、いろんな妄想に駆られたものだが、今思えば、Vapingという新たなリラックス方法のお陰で夫はストレスが緩和され、飲酒欲求が出て来なかったのかも知れない。
だからその後、Vapingに慣れてくると、夫は再びスリップをした。
断酒補助薬もあれから試してみた。
それでも、完全に夫の飲酒を止めることはできなかった。
その代わりに夫の飲酒欲求にストップをかけたのは、Anxietyの薬だった。
薬を飲んでストレスがなくなると、飲酒欲求が出て来ないと夫は言っていた。
夫が再飲酒してしまう精神的理由は、やはりストレスが原因だったようだ。