理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

身体のストレス

夫のアルコール依存症問題によって私にもたらされたストレスは、私を精神的にだけでなく、身体的にも深い影響を及ぼした。

 

思えば、娘と二人で日本に里帰りをしている時を除けば、私達は毎日、同じ屋根の下で夫と寝起きを共にしているのだ。日によって異なる夫の状態。平穏と地獄の日々を繰り返し、結果、心だけでなく、身体も悲鳴を上げ始めた。

 

胃が何週間にも渡って痛んだり、帯状疱疹になったり、Cold Sore(口唇ヘルペス)になったりもした。私のストレスはすぐに唇に現れるらしく、初めて夫がアルコールで入院した時には、まるで美容整形に失敗したかのように、ビックリするほど唇が痛々しく腫れてしまった。

 

そして、夫のことを考えると、苦しくて胸が文字通りキューッと痛くなった。

「心が苦しいと、胸って、本当に痛くなるんだ。」

そういう胸の痛みを、今まで一体何度感じて来ただろうか。

 

胸の痛みは心の痛み。

“Heart”が「胸」と「心」を示す言葉であることは、よくできているなと思う。

 

こんな風に身体がストレスを感じた時には、ゆっくりと一人で温泉にでもつかりたい。

もちろん皮膚にこのような症状が出ている間は温泉で人に接触するわけにもいかず、かといって、このアメリカに、日本にあるような温泉があるわけでもない。また、アメリカ人が熱いと思うお湯の温度は日本人にはぬるいので、日本の温泉の熱さに慣れ親しんでいる私としては、ジャクジーに浸かっていても、あまり満足はしないものである。

 

そういう時は、身体に出るストレスの症状が治まるのをただひたすら待つと共に、遠い日本への望郷の念を抱いて、犬達と一緒に静かに過ごしている。

 

 

f:id:MrsHope:20181214095339j:plain