理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

就活

夫の貯金が底をついてきた今年の春、夫は言った。

「もう十分静養した。もういい。仕事を見つけるよ!」

仕事を見つけるだなんてセリフ、今までに一体何度聞いたことか。

でも、本当に夫には働いてもらわなければならない。

私は毎日毎日、お金の心配をしていた。

だから、夫にストレスを感じさせないように、月に一度のぺースで、仕事を探すようにお願いした。

 

絶対に仕事なんて、すぐには見つからないはず。

ましてや、この6年間の空白の時間を、一体どう説明するつもりなのだろうか?

私はいつも、そのことだけが気がかりだった。

夫は約6年間、無職だったのである。

今のジョブマーケットでは、きっと夫の価値はゼロ。

でも楽観視している夫。

私は常に不安だった。

不安で不安で、押しつぶされそうだった。

 

仕事を探すと言いながらも探さずに遊んで暮らしている夫。

その頃には、義父母、義兄も、夫に仕事を探すよう促してくれるようになった。

 

そして本格的に仕事を探すべく、夫がレジュメ(履歴書)を会社に送ってから、思ってもみないことが起こった。

 

なんとその翌日には午前、午後とオンライン面接にこぎつけ、その1週間後には実際に会社を訪問し、そこでCIOと面接。そしてその翌日には採用が決定したのです!

その間、いろんな会社とのやり取りのメールが100通程。

夫は、「すぐ決まるって言ったでしょ?それなのに、みんなが急かすから。」と、何とも得意気な顔。

 

「えっと・・・働いていなかったこの6年間のことは何て説明したの?正直に話した方がいいよ。そしたら、みんなアルコールを勧めて来ないから。」

なんだか肩透かしを食らった私は、夫に説明を求めた。

 

「アルコールを勧められたら、自分は飲まないって断るから大丈夫。この6年間のことは、お金に余裕があり、家族と過ごしたかったからセミリタイヤしていたって言ったら、みんな羨ましがってたよ、ハハハ。」

 

えっと、そんなんでいいのか!?

 

本当は夫の病気を知った上で会社に雇われるのが理想だったのだが、今はそんなことは言っていられない。一刻も早く、夫には社会復帰して欲しかった。

 

働いてみて、もしその会社が嫌だったら辞めればいい。

今はただ、6年間の空白の時間を埋めるためだけにでも、どんな仕事でもして欲しかった。

 

2022年7月。

約6年のブランクがあったにも関わらず、夫はなんと、前職よりも年収の高い会社での再就職が決まった。