夫婦の絆
久々に夫が凄い人に思えた。
夫が無職の間は、夫のことはグータラで尊敬できなかったけれど、今までの空白の時間を埋めるためにも、夫は働き始めたら、きっと一生懸命に働いてくれると信じている。
遠い昔のことでずっと忘れていたのだが、そういえばそんな風に頑張って働く人だったんだ、私の夫は。
夫がやっと新しいスタートラインに立ち、やっと普通の人達と同じ場所に帰ってきた気がして嬉しかった。
そうなると、自然に私も夫に優しくなる。
夫もとてもやる気になっている。
また、一からお金を貯めていく、と張り切っている。
私は、今まで自分だけが働いていたから、常に気が張っていた。
本当に、夫が働かないというのはものすごくストレスだった。
もう、頑張らなくっていいんだ。
そんな風に、私は肩の荷が下りた。
夫の仕事が決まったことにより、私達は、夫婦の距離が一気に縮まった気がした。
今までは単なる同居人で、お互い、なんとなくお互いのことには干渉しないようにしていた。
でもやっと、普通の夫婦、普通の家族に戻れる気がして、私も夫も、自分達の将来に希望を見出して、二人で嬉しくなった。
義母からの、夫の再就職を喜ぶテキストが届く。
私はテキストを返す代わりに、彼女に電話をした。
思えば、彼女と電話する時は、夫のアルコール依存症や、働かないことへの愚痴ばかりで、こんなに嬉しい内容で彼女に電話をしたのは久しぶりだった。
あの嫌いだった義母と二人で喜びを分かち合う。
あの頃は、こんな日が来るだなんて、思ってもみなかった。
苦しかったよね、あの時は。
もう、戻りたくないよね、あの頃に。
あなたは本当によく頑張った。
他の人ならもうとっくに離婚してるはず。
等々、お互いに苦労を労い、夫の門出を喜んだ。
義父とは、特に改めてそのことについて話はしなかったが、その後再会した時の義父の晴れやかな顔が、彼も夫のことでホッとしてるんだな、ということを物語っていた。
夫の再就職は、私達夫婦の距離を久々に縮め、また、夫の周りの人すべての心を明るくした。