理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

無償の愛 ~ Unconditional “Doggy” Love ~

シラフの夫は、相変わらず気難しくて扱いにくい男ではあるものの、まぁ頑張って断酒を続けてくれている。

 

夫が断酒前と変わったこと。

犬達の散歩に、喜んで進んで行ってくれるようになりました。

 

夫の犬達への接し方は、見ていてこっちの顔が緩んでしまうほど、ラブリーで愛情に溢れたものである。そして、それに私はいつも癒される。どんなに気難しくても、犬好きの人に悪い人はいないと思う。

 

しかしながら、酔っぱらい全盛期の頃の夫は、犬達を可愛がりはするものの、散歩などという面倒くさいことは一切やらなかった。たまに天気がいい日には犬達を車に乗せ、近くの州立公園に一緒に行くことはあったのだが、そんな楽しい場所ではなく、単なる近所のお散歩ということには、以前の夫は興味を示さなかった。

 

そういえば夫は、泥酔しても犬達に暴言を吐いたり、酷くあたることは一切なかった。

むしろ、酔っ払っている時にこそ犬達にキスをしたり、より大きな愛情を注いでいた。

 

泥酔時に夫と距離を取る私と娘からは相手にされず、そんな酔っぱらった夫でも変わらず愛してくれる犬達に、夫は好き放題に愛情を押し付けていた。酔っぱらうと犬達が眠っている時でさえ犬達にしつこく愛情を示すものだから、犬達は「ちょっと眠らせてよー。。」と、ゆっくりと夫から離れたりすることもあった。犬達なりの、ささやかな抵抗であったのだろう。それでも犬達は、夫からの愛情を与えられるがまま受け止めていた。

 

夫が泥酔して床に倒れ込んで眠っている時、犬達はいつも夫の側にいた。

私と娘がどんなに酷く夫を拒絶しても、犬達は夫を嫌ったりしなかった。

 

そんな夫は、どんな時でも自分を見捨てずに側にいてくれた犬達のことを愛し、そして犬達も夫のことを、どんなにしつこく絡まれても無条件で愛している。私には到底できないことだよなぁ、と犬達の愛情の深さに感心し、我が家で夫の酒害を受け続けてきたのは私と娘だけでなく、犬達もだったのだと今更ながら気付くと共に、私と娘の代わりに夫の犠牲になってくれていた犬達のことを、これからも大切な家族の一員として、愛していきたいと思っている。

 

 

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