素面への苦しみ
私には時々、思いもよらないイマジネーションが働く。
夫の離脱症状を待ちわびながら、この感覚が、何かに似ていることに気が付いた。
静かに「陣痛」を待つあの感覚だ。
今か今かと待ちわび、緊張し、不安になり、そして突然展開される劇的なドラマ。
今度の離脱症状は、どのくらいの時間がかかるだろうか?
どのくらい苦しいだろうか?
出産が離脱症状、産みの苦しみは、シラフへの苦しみ。
産んだ後には平和で穏やかな喜びが、そして、離脱症状が終わった後にも平和で穏やかな喜びが。
神聖なる出産と、堕落した酔っぱらいの末路を一緒にしてしまい、申し訳ございません。
ただ、夫の離脱症状を待ちわびながら、ふとそんな思いが浮かんできた。
今回の飲酒はいつもと違い、暴言もなく、意味なく絡んでくることもなく、静かで平和なものだった。ただ、あまりにもおとなしく飲むものだから、私は夫がこのまま死んでしまうのではないかと不安になった。
夫に離脱症状が起こったら、今回はいつものように「自業自得」と冷たく無視するのではなく、ちゃんと寄り添っていたいと思う。