断酒

夫の離脱症状のひと通りのドラマが終わると、しばし平穏な日々が訪れる。再び連続飲酒が始まる、嵐の前の静けさだ。再飲酒したことを反省し、私に謝り、時には涙を流し、もう二度と飲まないと誓う。

この時の夫は、義父の仕事の手伝い、家のリフォーム、庭の手入れ等、今まで送ってきたアルコール漬けの日々の埋め合わせをするかのように、朝から晩までよく働く。きっと、忙しく何かをすることで、アルコールへの欲求と戦っているのであろう。そういう時は、特に何も言わずに静かに見守る。

テキパキと働き、ハキハキと自信たっぷりに話す夫の姿は、泥酔時に漂わせるホワイトトラッシュ（クズな白人）の微塵さも感じさせない。

夫が一人で車に乗ってどこかへ行き、アルコールを買わずに帰宅したら、取り合えずホッとする。時にはＧＰＳで夫の居場所を確認する。「良かった、酒屋には行っていない。」

私が夫の行動を気にするわけはただ一つ、夫のことを信用していないからである。今まで散々嘘をつかれ、散々失望させられてきた。アルコール依存症は、周りからの信用を完全に失うのだ。