理不尽な病 ~アルコール依存症の夫と暮らして~

アメリカ人の夫との結婚生活15年。夫のアルコールの問題に悩まされて10年。アルコール依存症だと認識して約8年。健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで、私はこうして地獄に付き合わなければならないのだろうか…? 遠い日本の親にも友達にも言えないこの苦しみを、どうかここで吐き出させて下さい。(2018年5月)

先が見えない苦しみ

夫がアルコール依存症だという事実はとても辛い。でも、もう、受け入れました。
専門家の力を借り、謙虚に、頑張って回復する努力をしているならしっかりと応援したい。でも、夫は専門家の力を借りようとしない。それが私の今の大きなストレスになっている。

 

薬(飲まないようにする注射)を使うプログラムに通ったのが6カ月、依存症専門の心理学者の元に通ったのが6回程、週3日の外来プログラムに通ったのは1カ月程。AAに行ったのが一度。他にスマートリカバリーというAAのようなミーティングに週に1度、3カ月程通った。

 

次に飲んだらリハビリに行くという誓約書を一度書かせたのだが、結局すぐに飲んだ。この誓約書は法的な効力もなく、ただの紙切れ同然だと知った時には絶望した。

 

結局夫は、何一つやり遂げずに途中であきらめ、すぐに飲んでしまう。
専門家の助けもリハビリも、何も効かないから自分一人の力で飲むのを辞めると言う夫。それができないから未だ回復に至っていないというのに、本当に頑固で扱いが難く、非常に腹立たしい。

 

そういうプログラムは効かなかったというが、それは夫の病気が重症過ぎて、それ以上の集中的な治療が必要だったからだ。現に、プログラムのカウンセラーからも、”He needs a higher level of treatment.”(彼には、より高度な治療が必要だ)と残念なお墨付きをもらった。

 

夫のような重度のアルコール依存症はリハビリ施設に入るべきなのに、それを拒否する夫。理由は、「他のヘロイン中毒患者と同室になりたくないから」という、非常に子供じみたもの。
自分のために、家族のために、少しの我慢をして治療に専念しようと思わないのだろうか?

 

AAは効かないというが、たったの一度行っただけで効かないというのは、非常に馬鹿げている。一度で効くはずはない、連続して参加しなければ意味ないのに、夫は頑なに拒否する。

 

初めてAAに行った日、夫は興奮していた。プライドが高い夫は、社会的に成功している人達までもが参加しているAAに行って、そこに底辺にいる麻薬中毒者でない、「自分と同じ、レベルの高い人間」がいることを目にし、喜んだのだ。あまりの有頂天ぶりに私は不安になった。夫は極端なのだ。そしてあんなに喜んで行く気になっていた夫は再度の飲酒ののち、それ以降、もうAAに参加することはなかった。

 

夫は自分がアルコール依存症だという事実を素直に認めている。
ただ一歩、治療に向けて進んでくれれば、どんなに失望させられても私は応援して支えたい。でも今の私には、夫との将来は家庭の崩壊と人生の破綻しか見えて来ない。だから、毎日、辛い。

 

 

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